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Channel: おやじのつぶやき
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石薬師宿本陣。佐佐木信綱資料館。「夏は来ぬ」。・・・(「内部」駅から「井田川」駅まで。その2。)

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 石薬師宿は、東海道五十三次の44番目の宿場で、元和2(1616)年に宿場となりました。それほど規模は大きくなかったようです。



 田園では稲の刈り取りが終わり、草むらでは夜長に鳴く虫の声が次第に高まる秋となりました。四季の変化が明確な日本では、秋は野山にある多くの植物がたわわに実を結び、動物たちもその恵を得て肥え太る稔りの季節とされていますが、他方では、つるべ落としの夕日に象徴されるような哀愁感のある季節でもあります。
 街道絵・名所絵の名手、初代歌川広重は保永堂版「東海道五十三次之内」シリーズで東海道各宿の風景を、それぞれ沿道の風俗や四季・気象の変化を見事にまとわせた旅情豊かな作品として描き出していますが、今回ご紹介する「石薬師」は東海道44番目の石薬師宿(鈴鹿市石薬師町)の秋の情景を描いたものです。
 「石薬師」の副題は、宿場の南端にあり宿場名の由来ともなった「石薬師寺」です。石薬師宿は、慶長6年(1601)の東海道宿駅制によって当初置かれた四日市宿と亀山宿の間の距離が長く離れすぎて人馬の往来に困難が生じていたことから、その解消のために元和2年(1616)に新たに設置された宿場です。また、現在も旧街道沿いに残る石薬師寺は、石造薬師如来を本尊とする古刹(こさつ)で、江戸時代には東海道を往来した旅人はもとより、参勤交代の西国大名も参詣して道中の安全を祈願したと言われています。
 「石薬師」の図はこの石薬師寺を左に配して、石薬師宿の南半を東方から遠望した構図で描かれています。右手の家並みの間を通り石薬師寺の門前を通過する道が東海道、また、遠景の山々は鈴鹿山系の入道ガ岳か野登山付近の山々であると思われます。
 空に引かれたやや赤みを帯びた褐色の一文字ぼかし、背景の山々のやや沈んだ色合い、石薬師寺周囲の木立の暗色が、画面全体に夕暮れ時の静かな、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。本堂や庫裡(くり)の高い屋根のシルエットの前に描かれた山門は夕刻のため既に閉じられ、両側に続く土塀が薄暗さの中で際だっています。その前の街道を馬に乗ってゆっくりと過ぎゆく旅人たちは、これから25丁(約3㎞)先の庄野宿まで行って泊まるのでしょうか。また、手前に広がる収穫を終えた田んぼには積み上げられた稲わらが点在し、次第に深まる暮色の中で野良仕事を続けるただ二人の農夫が小さく描かれ、夕暮れ時の静寂さを一層強調しています。一方、右下から斜めに石薬師寺の山門に続く細い農道は、平板的になりがちな夕景の遠近を深める効果があり、その路上には石薬師寺に向かって担い棒で荷物を運ぶ二人連れが、静寂の中で唯一動きのある姿で描かれています。
 この作品は、ほかの宿場の図のような目立つ画題がみられない地味な構図ですが、街道沿いの哀愁に満ちた晩秋の夕景が写実的に描かれ、ひなびた静かな詩情がただよう味わい深い作品であるとともに、当時の街道の実相をうかがうことができる貴重な資料と言えましょう。(SG)

HPより)

街道入口の案内板。

 また、この地は歌人・文学者の佐佐木信綱さん、父弘綱さんの生誕の地でもあり、それに因んで「信綱かるた道」が街道に沿って掲示されています。

「石薬師宿 信綱かるた道」

 「信綱かるた」から選んだ36首の歌がここから南1.8キロの間に掲示されている。途中には本陣跡、佐佐木信綱記念館、浄福寺(信綱の父弘綱の碑)、石薬師寺などがある。

 佐佐木信綱顕彰会 (財)岡田文化財団助成事業

                  

こちらは案内図。

「北町の地蔵堂」。

 延命地蔵さんである。家内安全、交通安全を祈願すると霊験あらたかといわれている。
 江戸時代、東海道の宿場として賑った石薬師宿の入口に旅の安全のために、誰かが建てたのだろう。
 現在この付近の十六軒の方々で地蔵講を結成して、掃除や供花の奉仕がなされている。毎年八月二十四日は地蔵さんの会式である。

 平成4年10月  石薬師魅力再発見委員会[鈴鹿市市政50周年記念事業]

そこから来た道を振り返る。

落ち着いた住宅街の一本道が続きます。

ゆく秋の 大和の国の薬師寺の  塔の上なる 一ひらの雲

 民家の塀に「石薬師宿(広重)」の模写。右の小さな絵は、「四日市宿」。
             

    
                         小澤本陣址

 東海道石薬師宿は元和2年(1616)幕命によって設立され宿の名は当時有名であった石薬師寺からとった。
 大名の泊る宿を本陣といい、小沢家がこれを勤めた。屋敷は現在より広かったようである。残る文書も多く元禄の宿帳には赤穂の城主浅野内匠頭の名も見える。国学者萱生由章(1717~75)もこの家の出である。

 鈴鹿市

 表札も「小澤」さんでしたから、現在まで続く旧家です。

隣のおうちの前にも解説板。

 ほぼ同じ内容が記されていますが、

・・・石薬師宿は小高い台地にあり、小澤本陣のまわりには高い松の木があったので、、別名「松本陣」ともいわれていたという・・・

 さらに門扉の脇には「東海道 旧小澤本陣休憩所」という看板が掲げられてあります。

1920年頃。

1960年頃。
 ←、↑が旧東海道。「国道1号線」の開通によって旧道は分断されています。

1995年頃。

 「今昔マップ」によると、「石薬師宿」は、標高40~45㍍で、「杖衝坂」を上ってきて、また「「石薬師寺」付近からは南に下って行きます。

途中、右手にある「天野記念館」。

 天野修一翁は、この記念館を昭和39年(1964)ふるさと・石薬師本町のために建てられました。天野修一翁はタイムレコーダーで名高いアマノ株式会社の創始者です。前庭にある記念碑の「天野記念館」の文字は天野修一翁の揮毫です。
 また天野修一翁は鈴鹿市に小額資金を寄贈して若人の育英にも偉大な功績をあげられています。

 平成18年(2006)12月  石薬師地区明るいまちづくり推進協議会

 この「アマノ株式会社」。

時間情報事業
 「Advanced Time Solutions(一歩先行く時間の活かし方)」をビジネスコンセプトに、限りある時間を最大限に活用し、時刻記録・就業管理・入室管理など、時間(Time Resource)に関するあらゆる問題を解決する時間情報ソリューションをご提案しています。タイムレコーダーから最新の統合システムで、人材の有効活用を推進いたします。

タイム情報システム
 ICカードとネットワークで情報を集中管理。中小事業所向けの最新の勤怠管理から、Web対応就業情報システム、ASPサービス、ICカード社員証を活用したソリューション、ドアセキュリティシステムなど、ネットワーク型時間情報ソリューションをご提案しています。
(以上「」HPより)

という会社のようです。

振り返って宿内を望む。


「信綱かるた道」。「石薬師小学校」脇。

 そのすぐ先が、
    

これのふぐら良(よ)き文庫(ふぐら)たれ故郷(ふるさと)の里人のために若人(わこうど)のために

石薬師文庫
 昭和7年、佐佐木信綱が還暦にあたり旧石薬師村に寄贈したものである。以前からあった土蔵(今も裏側にある)を文庫とし、本建物が閲覧書として建設され、伊勢国学に関する多くの版本や写本などを含む貴重な書籍が贈られた。開所式には、明治の元勲田中光顕、三重県知事などが出席された。本文庫は、神宮文庫と並び紹介されたりしている。現在、地域の図書館としてボランティアで運営され親しまれている。



ふるさとの 鈴鹿の嶺呂の 秋の雲 あふぎみつつ思ふ 父とありし日を 佐佐木信綱

傾けて バイクを駆れる 群が行く 鈴鹿の山は 父祖のふるさと 佐佐木幸綱

                

佐佐木信綱と卯の花の里

 石薬師宿は江戸から数えて44番目の宿場である。天領であったこの地に宿駅が設置されたのは、元和2年(1616)と遅く、それまでは高富村と呼ばれていた。
 弘化2年(1845)の石薬師宿宿軒別図から職業構成をみると、人家約180軒のうち旅籠屋が約30軒、百姓は約130軒で全戸数の約7割をしめており、農村的性格の強い宿場であった。街道の中ほどの西側には小沢本陣があり、その向かいには園田家がつとめていた問屋場があった。
 当資料館の隣に建つ連子格子造りの木造家屋は佐佐木信綱(1872~1963)の生家で、一家が松阪へ移住する明治10年(1877)までの幼年期をこの家で過ごした。
 裏庭には「産湯の井戸」が今も残っている。
 石薬師では、信綱作詞の唱歌「夏は来ぬ」に因んで昭和63年(1988)から地区を挙げて「卯の花の里づくり」に取り組んでいる。
 初夏になると、どこの家庭の庭先にもまた道端にも白い可憐な花が咲き清楚な趣をそえている。

資料館等の配置図。

「夏は来ぬ」佐々木信綱作詞・小山作之助作曲

1.卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

2.さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ

3.橘の 薫るのきばの
窓近く 蛍飛びかい
おこたり諌むる 夏は来ぬ

4.楝(おうち)ちる 川べの宿の
門(かど)遠く 水鶏(くいな)声して
夕月すずしき 夏は来ぬ

5.五月(さつき)やみ 蛍飛びかい
水鶏(くいな)鳴き 卯の花咲きて
早苗植えわたす 夏は来ぬ

 つい口ずさんでしまう名曲。卯の花、時鳥、さみだれ、玉苗、橘、蛍、楝、水鶏、五月やみ、夕月、・・・季節感あふれる詩情。しかし、これらの風物も、すっかり忘れ去られてしまった感がします。

    (「Wikipedia」より)


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