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Channel: おやじのつぶやき
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読書「石巻市立大川小学校『事故検証委員会』を検証する」(池上正樹・加藤順子)ポプラ社

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津波で児童犠牲 大川小の裁判始まる(NHKニュース&スポーツ) - goo ニュース

 「付記」の中で、最終報告書を出した後、事故検証委員会の室崎委員長は遺族説明会後の会見でこう語った、と。
 「・・・もっと核心的な責任を負うのは学校です。早い時期に逃げると決断しなかった人たちは、厳しく問われるべきです。また、市の行政にも、保護責任を果たしたのかというと、その対応にはとても大きな問題があると思います。」(P269)
 3・11の大地震後の大津波によって児童生徒、教職員84名の命が奪われた「 大川小学校」。その事故検証委員会は、有識者を委員として設置された。5700万円(追加予算含む)の費用をかけて行われた委員会は、当初から遺族の方達と検証内容や方法について齟齬が大きくあった。が、委員会は遺族の声をほとんど取り入れることなく、最終報告(その内容も不備だらけのもの)をまで行って解散した。
 遺族達は、自分の子供(未だに行方不明の子供もいる)がなぜ助かる命をみすみす失ってしまったのか、裁判に訴えた。その裁判が始まった。双方の主張の違いは大きい。


 遺族達は、唯一生き残った教員の証言を求めている。
 この書を読むと、遺族の思い。「裏山に逃げようと声を上げた子供の声を無視して、なぜ校庭に50分間も待機させ、そのあげく、川沿いの微高地に移動中に大津波に飲み込まれてしまったのか」
 事故検証委員会では、まったくといっていいほど検証されなかった「憤り」、「無念さ」の叫びを遺族の立場に寄り添って「検証」した書。
 航空機事故、列車事故、学校事故(自殺)などに設置される「事故調」「事故検」などの公の機関がいったいどういう役割を果たしているのか、被害者・遺族の思いに真に答えようとしているのか、そうなってはいないのではないか、と。そういう本質・根本に迫った、問題提起の書でもある。

  

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