啓蟄(けいちつ)
「啓」は「開く」「開放する」という意味があり、「蟄」は「隠れる」「虫が地中にとじこもる。」という意味があります。
暦の上では、今日が「24節気」の3番目「啓蟄」。「雨水」から15日目頃で、今日から春分までの期間。
土中で冬ごもりをしていた生き物たちが目覚める頃のこと。生き物たちは久しぶりに感じるさわやかな風と、麗らかな春の光の中で生き生きとしています。
七十二侯では、
初侯 3月5日〜3月9日頃
蟄虫啓戸 すごもりむしとをひらく
土中で冬眠をしていた虫たちが、暖かい春の日差しの下に出てき始める頃。虫とはいいますが、冬眠から目覚め始めるすべての生き物のことを表しています。
次侯 3月10日〜3月14日頃桃始笑 ももはじめてさく
桃のつぼみが開き、花が咲き始める頃。昔は“咲く”という言葉を“笑う”と表現したそうです。ゆっくりと開いていく桃の花は、ほほ笑んでいるようにも見えます。
末侯 3月15日〜3月19日頃菜虫化蝶 なむしちょうとなる
厳しい冬を越したさなぎが羽化し、美しい蝶へと生まれ変わり、羽ばたく頃。菜虫とは、大根や蕪などの葉につく青虫のことをいいます。
(この項、「暦生活」HPより)
菰はずし
マツカレハなどの害虫から守るために、松の幹に巻きつけていた藁(わら)でできた菰(こも)をはずす「菰はずし」を啓蟄の恒例行事にしているところが多い。
松の菰。「向島百花園」にて(2020・12)。
春雷
立春から立夏の頃までに発生する雷。寒冷前線通過時に発生する界雷で、雹を伴うこともある。 立春の頃の雷は春の到来を伝えるともいわれ、冬眠していた地中の虫たちが雷鳴に驚いて目覚めるという意味から「虫出しの雷」とも呼ばれる。
米津玄師に「春雷」という楽曲が。
現れたそれは春の真っ最中 えも言えぬまま輝いていた
どんな言葉もどんな手振りも足りやしないみたいだ
その日から僕の胸には嵐が 住み着いたまま離れないんだ
人の声を借りた 蒼い眼の落雷だ
後期高齢者には理解不能に近い歌詞。
一目惚れ? 出会った瞬間のときめき? 恋の予感?
どうもついていけません。
「ふきのとう」にも「春雷」という楽曲がありますが、未詳。
菜種梅雨(なたねつゆ)
この時期に続く長雨のこと。ちょうど菜の花が咲く季節に降る長雨なので、このように呼ばれている。
「催花雨(さいかう)」という別名も。桜や菜の花など、さまざまな花が咲くのを促す雨という意。
東京地方は晴れの日が続くようですが、西日本では雨の日も。まさに「菜種梅雨」には少し早いか?
こうして確実に春がめぐってきています。
路傍の菜の花。(「荒川を遡る」より)