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Channel: おやじのつぶやき
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「落語鑑賞教室」その6。柳家喬太郎「転宅」。

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                         柳家喬太郎。

今回は、「浅草演芸ホール」。2021年5月5日 夜の部。緊急無料生配信アーカイブより。

多士済々の登場ですが、トリ(主任)は、柳家喬太郎師匠。喬太郎さんは、人気絶頂の落語家。なかなかチケットが取れません。一昨年、とあるホールで聴きました。

新作から古典まで幅広く持ちネタがある方。

枕の話がけっこう面白い。中には、半分くらいそれで、お客を抱腹絶倒させて、本題に入ることも。表情、仕草が軽妙です。

 日本橋浜町の妾宅。50円置いて帰った旦那を、お妾のお菊さんが見送りに出てきた。これを見聞きしていた泥棒がその隙に座敷に入り込み、残りの料理と酒を飲み食いし始める。

 そこへ戻ったお菊さんに泥棒は、さっきの50円を出せとおどす。あわてず騒がず泥棒をおだて上げ、もとは自分も仲間で、高橋お伝の孫で「はんぺん」というなんて泥棒をからかう。

 もう旦那には愛想が尽き、こんな暮らしは飽き飽きしたから一緒に逃げて夫婦になろうと持ち出す。色仕掛けにすっかり舞い上がった泥棒、その気になって「今夜は泊っていく」と。

 困ったお菊さん、「旦那が焼き餅屋なんで、用心のため二階は剣術と空手の先生に貸してある」と切り出すと、泥棒は大慌て。

「今夜は帰って明日また来て頂戴、三味線を弾くからその合図で家に入って」と泥棒を帰す。

 おまけに泥棒の紙入れから、「亭主の物は女房の物」、「女房の物は女房の物」なんて丸め込んでお金も巻き上げる。

泥棒は浮き浮きして、じゃあ明日と出て行く。

 翌日、待ちかねた泥棒、妾宅にやって来たが、雨戸が閉まっていて、三味線の音も聞こえない。そこらを一回りして来るがやっぱり同じだ。

 向いの煙草屋で尋ねると、「昨夜、お菊さんの所へ間抜けな泥棒が入った。お菊さん、色仕掛けでせまって泥棒と夫婦約束までさせ、泥棒の財布からお金まで巻き上げた。すっかりのぼせ上がった間抜けな泥棒がいるものんだね。泊まっていくとか言うんで、二階には用心棒がいるとか言って脅かし、追い返した。見て御覧、あそこは平屋、二階なんてないでしょう。」

ビックリ仰天した泥棒。「で、どうしましたか? 」

「泥棒が帰った後、さすがお菊さんも怖くなって、今朝早く若い者が来て荷物をまとめてご転宅、つまり引っ越して行った。町内の者はその間抜けな泥棒が現れるのを今か今かと待っている」という。

茫然自失の泥棒。

泥棒 「一体、あの女は何者です」

煙草屋 「もとは義太夫の師匠だったそうだ」

泥棒 「道理でうまく語り(騙り)やがった」

「浅草演芸ホール」と「鈴本演芸場」の席亭のお二人。

のんきに落語を楽しんでいるうち、今日の東京都のコロナ感染者数が3,000名近くになった、と。

ここ1週間で、身近でも3人感染し、それぞれ、ホテル療養、入院、自宅療養となってしまいました。


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