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Channel: おやじのつぶやき
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新緑の「蹴上インクライン」。第三隧道。三十石船。浄水場。・・・(琵琶湖疎水。その1。)

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 連休初日。会合のために京都へ。この時期、新幹線も混んで混んで、と思いきや意外と予約も取れて、久々の京都。
 会議も予定時間通りに終了、帰りの新幹線まで少し時間がありそう。早く帰るのももったいないし、前々からちょっと気になっていた所へ行ってみようと。
 地下鉄東西線・「蹴上(けあげ)」駅下車。京都―烏丸御池―蹴上。その駅のそばにある「琵琶湖疎水インクライン」跡。
赤丸の部分。
(元の図は「」HPより)
 京都と琵琶湖を結ぶ水路「琵琶湖疎水」は、水道用水の確保と、水運の充実を図るために明治時代に建設されたものです。
断面図。(「同」より)。「蹴上インクライン」はその一部で、一番左端にあたります。

1902年(明治35年)のインクラインと船
昭和15年頃の琵琶湖疏水インクライン

 ケーブルカーという呼称は、旅客営業を目的とする鋼索鉄道に対して用いられるが、産業用に建設された鋼索鉄道を通常インクライン(英語:incline、傾斜(鉄道))と称する。
 山岳地帯での材木の輸送、ダム工事現場での資機材の輸送などに多用され、現存する恒久施設としては黒部トンネル端部と黒部川第四発電所を結ぶ関西電力のインクラインや、高知県安芸郡馬路村や神奈川県愛甲郡愛川町・清川村の宮ヶ瀬ダムにあるもの等がある。
 過去、最も知られた導入事例のひとつは1891年から1941年まで運用された琵琶湖疏水のインクラインで、高低差がある水路間で船を往来させるため、京都市の南禅寺船溜と蹴上間の傾斜区間に軌道を敷設し、ワイヤーで牽引される「船受枠」という台車に船を載せ昇降させた。
 京都市は禁門の変で市中の大半が焼け、明治維新と東京奠都に伴い人口が減少し産業も衰退したため、第3代京都府知事の北垣国道が灌漑、上水道、水運、水車の動力を目的とした琵琶湖疏水を計画した。そして主任技術者として、工部大学校を卒業したばかりの田邉朔郎を任じ設計監督にあたらせた。
 第1疏水は1885年(明治18年)に着工し、1890年(明治23年)に大津市三保ヶ崎から鴨川合流点までと、蹴上から分岐する疏水分線とが完成した。第1疏水(大津−鴨川合流点間)と疏水分線の建設には総額125万円の費用を要し、その財源には産業基立金、京都府、国費、市債や寄付金などのほか、市民に対しての目的税も充てられた。
 また、日本初の営業用水力発電所となる蹴上発電所を建設し、1891年(明治24年)に運転が開始された。この電力を用いて、1895年(明治28年)には京都・伏見間で日本初となる電気鉄道である京都電気鉄道(京電)の運転が始まった。鴨川合流点から伏見堀詰の濠川までの鴨川運河は、1892年(明治25年)に着工し、1894年(明治27年)に完成した。
 第2疏水は、第1疏水でまかないきれない電力需要に対応するとともに、新設する近代上水道のための水源として、京都市により「三大事業」の一つとして進められた。1908年(明治41年)に着工され1912年(明治45年)に完成し、取水量は第1第2合わせて毎秒850立方尺 (23.65m3) となった。日本初の急速濾過式浄水場である蹴上浄水場はこの時に設置されている。(以上、写真を含め、「Wikipedia」参照。)

「琵琶湖疎水」第3トンネル北西側出口付近(中央奥)。右が浄水場の建物。
現在は、「三条通り(旧東海道)」を挟んで、西側に広大な敷地の浄水場があります(「京都市上下水道局」HPより)。
インクラインを上流から望む。右にかつての「船受枠」(台車)と運輸船(復元された木造・三十石船)。


説明板。
左の大きな滑車はワイヤーを巻き上げていたもの。
明治35年(1902年)工事犠牲者慰霊のため田邉朔郎が自費で建立。「一身殉事萬戸霑恩」(いっしんことにじゅんじばんこおんにうるおう)」
裏面に犠牲者17名の氏名が刻まれている
第二疏水合流トンネル北口。「藉水利資人口(すいりをかりてじんこうをたすく」。「第二疎水」は、琵琶湖の水を全線暗渠として通し、ここで合流させている。

水量は豊富。

現在用いられている右京区にある山ノ内浄水場までの導水管(展示)。

インクライン。上方(蹴上)を望む。

 このように、京都市は、飲料水から工業用水、発電用水まですべてこの「琵琶湖疎水」によって成り立っていることがよく分かります。そのための先人の並々ならぬ労苦を感じます。

 と同時に、今、もし敦賀原発など福井県内に集中する原発に事故が起こり、大量の放射能がまき散らされ、琵琶湖の水が汚染された場合には、京都市民のいのちにかかわる重大な問題が引き起こされるのではないか、ふとそんなことが頭によぎりました。


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