

故18代目中村勘三郎が「勘九郎」のころの演目。前の歌舞伎座のときのもの。勘三郎は完成前に惜しくも亡くなってしまい、新装なった「歌舞伎座」には縁がありませんでした。
餅屋台を担いでやって来たのは団子売の夫婦の杵造とお臼。二人は杵と臼を取り出すと、仲良く餅をつき始める。餅つきを終えた二人は、童唄に乗ってゆったりと踊るが、やがてひょっとことお多福のお面をつけて賑やかに踊り始めます。
江戸時代に流行した団子売の風物を舞踊にしたこの作品は、仲のよい夫婦が軽やかに踊る人気舞踊です。



2人の息の合った踊り。


2人でついた団子餅、お盆で見事にキャッチ。


お多福のお面がはまりすぎ。


ひょっとこのお面をつけて踊る三津五郎。

この三津五郎も勘九郎が亡くなった2年半後に59歳の若さで亡くなっています。

2人とも同年代で、公私ともに大変仲が良かったようです。
当代きっての歌舞伎役者2人が今も健在なら、さぞかしすばらしい舞台が展開されていたと思います。

続いて、「高坏」。
下駄でのタップダンス! お見事!
【あらすじ】
酒宴を開こうとしたが高坏(食物や盃をのせたりするのに使う足つきの台のこと)がない。
大名は次郎冠者に命じた。さて困ったのは、次郎冠者。高坏がどういうものか知らない。
ずる賢い高足売り(高下駄を売る行商人)の言うことを真に受け、高坏の代わりに高足を買い、酒を一滴残らず飲み干してしまった次郎冠者は高足を踏み鳴らし陽気に踊り狂う。
昭和8年(1933年)の初演当時に流行っていたタップダンスを歌舞伎に取り入れて、名優と言われる6代目尾上菊五郎が次郎冠者を演じた。
6代目は2回しか演じなかったそうだが、それを継承したのが17代目、そして18代目中村勘三郎の当り芸になっていました。


高下駄を操っての見事な舞い。



